メイキングストーリー・オブ・ビーツァ 第3章 ~ ビーツァ製品化への道!

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第二章はこちら から...


「Nフレーム誕生!!」の巻

 

いやはや七転八倒しながらも完成したウッドプロトモデル、はたしてその動きをN-FOAMで再現できるのか?

いよいよ最大の山場となるN-FOAMへの落とし込み作業の始まりです。これが上手く行かなければ今までの苦労は水の泡です。

ココから先は自分にとっても未知の領域で、何しろ作ってみない事には何も見えてきません。

 

そこで、まずはどんな構造にするか、そこから考え始めました。

 

ウッド素材よりも遥かに強力な浮力を持つ「N-FOAM」、これをどうやって味付けするか・・・・。

上手く味付けできなければ、ウッドとの素材浮力の違いから全く違ったルアーになってしまう可能性が大です。

 

まず一番最初に思いついた構造は、単純にワイヤー貫通構造。いわゆるバルサルアーと同じオーソドックスな構造で、ウレタンボディーの内部に1本ワイヤーを貫通させ、ウェイトもそのワイヤーに固定する方式なんですが、なんとな~くしっくりきません。

おそらく、その構造体で作れば自分が求めているウッドプロトの動きというよりもバルサ系の動きになってしまうような気がして(もちろん、それはそれで面白いルアーが出来るかもしれないんですが)、なんとなくそんな理由からこの方法はパスします。

 

Imageでもって、次に考えたのは、リップからテイルまでフレームを貫通させる方法。

具体的に言うと、リップを含めた一体構造となるフレームにタイイグアイやフックアイとなるエイトリング、そしてウェイトを組み込む方法を取ってみる事にしました。

 

そう考えた理由は、N-FOAM自体が超強力な浮力を持つ為、重心となる鉛ウェイトだけだとボディー浮力を上手く制御できないのでないかとの理由がありました。

上手く表現できませんが、暴れたがる超高浮力ボディーを押さえつけるのに必要な鉛ウェイトを入れるとオモリ過多でルアー全体の浮力が弱くなりアクションが悪くなってしまいます。かといって鉛ウェイトが足りないとボディーは単なる暴れ馬になってしまいます。

 

簡潔に言うと、鉛ウェイトで動きの支点を作り、フレームでロールアクションの軸を作る・・・・・これ以上の話は文章での表現が非常に難しくなるので割愛させて頂きますが、結論から言うと、このフレームを設けることによってアクションにトルク感が出る事に気がつきました。

ただのブルブルでもなく、ヌルヌルでもない、ハイピッチのヌルブルとでも言いましょうか・・・・そんな独特のアクションがビーツァが持つ最大の特徴になっています。(そして、それが釣れる理由でもあります)

 

そこで早速フレームに使えそうな素材を探します。

素材に求められる条件は、

 

■ クリアーである事

■ 耐久性がある事(特に耐衝撃性) 

■ 紫外線や水分などによる経年変化が少ない事

■ シリコンモールドで成型可能である事。

 

またまた、例の如く材料屋さんに入り浸っては手当たり次第に材料を買いあさり、片っ端から試してみます。

しかし、なかなか使えそうな材料には巡り会えません。

パッケージにはクリアーと書いてあっても固まると黄ばんでしまったり、根本的に強度が足りなかったり、固まるのにどえらい時間が掛かったり、ホント、どうしてカナダにはこんなにロクでもないものばかりなんだろう?ってぶち切れたくなるぐらいロクでもないものばかり・・・・・泣。

なかなか使えそうな素材に出会えない中、イライラは募ります。

 

しかし、諦めなければ道はおのずと開けるとはよく言ったものです。

そんな試行錯誤を繰り返していたある日、遂に良さそうな素材に巡りあいます。

その素材はやはりポリウレタン系プラスチックで、発泡ウレタンと同じようにA液とB液を混ぜ合わせると化学反応を起して固まるプラスチック。

そして色は求めていたスーパークリアー!!

しかし、問題は値段が高い!!

その素材は僕がカナダで手に入れられる最高クラスのプラスチックで、ビンボウ人の僕にとっては目の玉が飛び出そうな値段です。

でもまぁ、他に変わりも無くこのプラスチックを試してみる事にします。

 

早速、フレームのマスターモデルを作り、シリコンで型取りして、透明樹脂をモールドに流し込みます。

 

しかしいきなりの問題発生!!

なんと、樹脂の粘度が高すぎて、ちっともモールドの中に流れ込んでいってくれません。(泣)

 

仕方ないので、混ぜ合わせたプラスチックを電子レンジでチンして、樹脂温度を上げた状態でモールドに流し込んでみることに・・・・・すると、今度は温度が上がったおかげで樹脂がサラサラになり、何とかモールドに流し込むことが出来ました。

 

で、ドキドキしながら固まるのを待ち、いざモールドを開いてみると・・・・そこにはバッチリと形になったフレームがありました。

 

“おおっ、遂にNフレーム完成っ!”

もう大喜びです。

 

しかぁ~し、喜び勇んでモールドからパーツを取り出そうとしたその瞬間、ありえない事態が・・・・・

 

Nフレーム大粉砕!!(大泣)

 

なんとありえないことに、わが愛しのNフレームちゃんはモールドから抜き取ろうとしたその瞬間にガラスのように粉々に砕け散ってしまったのでありました・・・・・。

ホント、しゃれにならないとはこの事です。

 

原因を解明してみると、モールドに流し込む為に樹脂温度を上げた結果、樹脂が急激に硬化しすぎてしまいカチカチに固まりすぎてしまったというのが原因のようでした。

 

“う~ん、成型ってむづかしい・・・・・。”

 

平温だとモールドに流し込めないし、かといって温度を上げると樹脂が脆くなってしまう・・・。

 

ホトホト困り果てた末に、思いついたのは、圧力を掛けてモールドに樹脂を注入する方法。

いわゆるインジェクションってヤツですが、わが貧乏工房にとってはインジェクションマシーンなんて高価な機械は夢のまた夢で、手持ちのモノでなんとかするしかありません。

 

さて、どうするか・・・・・

 

で、考えた末に思いついたのはこれ。  ↓

 

 

Image 
注射器でぇ~す。 

 

 

そう、注射器です!

インフルエンザの予防接種とかに使うアレです。

そこで笑っているアナタ、笑ってはいけません。

本人はこれでも大マジなんです。(笑)

これもリッパなインジェクションの一種。(ただし人力ですが)

まさにタケヤリでB29に立ち向かおうとした日本軍もかくや・・・・・ですね。

タケヤリ根性(ナゲヤリ根性ではない)は、戦後数十年経った今でもニシネルアーワークス工房でしっかりと息づいているのです。

 

その注射器ですが、試してみるとこれが予想以上にかなりいい仕事をしてくれる事がわかりました。

樹脂をブチュ~ウウゥとモールドに注入するんですが、これがなかなか良い。

実にチープなアイデアですが、指の先に伝わる感覚からモールドの隅々まで樹脂が行き渡る様子が感じ取れ、すっかり病みつきになりそうです。(アブナイねぇ~笑)

 

窮地の状況であみだした技はまさにハンドインジェクション・・・・・もうこうなったらなんでもアリです。

数千万円はするであろうインジェクションマシーンに1個数百円の注射器(しかも洗って何度も使えるしぃ~♪)で対抗です。

僕らしいオチといえばそうなのかもしれませんが、でも、モールド成型なのにハンドメイドって訳がわかんないですよね。

 

これで、樹脂をモールドにブチ込む問題は無事に解決しました。(ホントか?)

 

そして、いよいよ本番!!

 

注射器を使い、慎重にモールドに樹脂を注入します。

ドキドキしながら固まるのを待つ事しばし・・・今度こそ大丈夫だろう。

そんな妙な自信がフツフツと湧いてきます。

そして、運命の瞬間。モールドを開けた瞬間、僕が目にしたものは・・・・・

 

「超泡だらけのフレーム。」(大泣2)

 

バッチリ成型できているはずのNフレームはそこには存在せず、妙に泡だらけのフレームがモールドキャビの中にしっかりと鎮座しています。

たしかにフレームの形に成型できているんですが、それはめちゃくちゃな泡だらけ・・・・・・・これでは商品には全くなりません。

 

“そんなはずはな~いっ!”

って、いくら現実を否定してみたところで、それはまさに天に向かってツバを吐くようなものです。

自分自身の技術や知識の無さ、そしてアホさ加減に打ちひしがれるばかりです。

僕は泡だらけのフレームを抱えてまたまた途方に暮れるのでした・・・・。

 


「遠心分離大作戦」の巻

 

苦心の末にあみだしたハンドインジェクション、無事に樹脂をモールドに注入できたものの、成型できたフレームと言えば超泡だらけのアワアワフレーム・・・・・またまたヘコみます。

 

原因は明白、樹脂のA液とB液をまぜまぜした際に大量の気泡が樹脂に混入し、それがそのまま固まってしまったのです。

考えられる解決策はただ2つ、樹脂混合時に泡が混入しないように混ぜるか、もしくは一度樹脂を撹拌した後で気泡を取り除いてやるかのどちらかです。

 

で、早速試してみる事に・・・・・

まずは何とか樹脂に気泡を混ぜないように撹拌できないか色々と試してみます。しかしこれは完全に失敗。

撹拌棒を使って撹拌している限りは、どんなに慎重に撹拌しても樹脂に気泡は混入してしまいます。

これを防ぐには樹脂温度を上げて、樹脂粘度を下げた状態で撹拌してやるしかないんですが、これでは最初に失敗したように樹脂が脆く固まってしまいます。

 

残された道は樹脂撹拌後に気泡を除去する方法。

色々と思案した末、遠心力で気泡を取り除くことは出来ないだろうかと考えました。で、早速試してみる事に・・・・。

まずは簡単なステーを作り、樹脂を撹拌したカップを無理やりガムテープで固定して、ハンドドリルでグリグリと回してみる事にしました。

そして、恐る恐るハンドドリルのスイッチを入れると、それはもう物凄い振動!

 

“うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~~~!!!!”

 

筆舌に尽くしがたい振動で手はブルブル震え、ハンドドリルを取り落とさないようにするだけで必死です。まさか世界のMAKITAもこんな使い方をされるとは想定してないでしょう・・・・・・もうハタから見るとオマヌケ以外のナニモノでもありません。

しかしながら、ブルブルすること1分、意外にも効果があり、かなりの泡が除去されています。

 

これはいけるかもっ!!

 

早速、樹脂を注射器に流し込んでモールドに注入してみます。

すると、なんとか無事に成型する事が出来ました。

しかし、この段階ではまだ完全に気泡を除去することができず、どうしても納得できなくて再トライ。

 

気合一発、今度はもっと長い時間グリグリ回して、気泡の完全除去を試みてみます。

ハンドドリルのスイッチを入れると、またまた物凄い振動地獄です。

 

“うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ~~~~~~~~~!!!!!”

 

必死で振動に耐えていると・・・・・・

 

がんがらがっしゃ~~~~ん!!!・・・・・カラカラカラカラ・・・・・・・”

 

なんとハンドドリルに固定されていたはずのカップはどこかに消え、ステーだけがクルクルと空しく回っています。

一瞬何が起こったか理解できません。

 

しかしふと気が付くと、工房中樹脂だらけのドエライ惨状に・・・・・・

そう、今度は回しすぎた結果、遠心力でカップがどっかに吹っ飛んでしまったんです。

 

で、メゲそうになりながらも更に強化したステーをこしらえてカップをしっかりと固定し、振動対策としてカウンターウェイトも取り付けて再度遠心分離に挑戦します。

またカップが吹っ飛びやしないかドキドキハラハラしつつハンドドリルのスイッチを入れると、今回は苦心作のステーのお陰もあってかカップは無事に回り続けます。そして、カウンターウェイトのお陰か振動も随分改善されました。

 

おお、俺ってもしかして天才?(←大勘違いです)

 

大いなる勘違いをしながらも、グリグリする事3分、遠心分離が終わったカップを見てみると、今度はほぼ気泡を除去する事に成功!!

もう大興奮です!大喜びしながらカップの樹脂を注射器に流し込み、モールドに注入を試みると・・・・・

 

あれっ!?シリンジが動かない??

 

なんと、今度は、あまりにも長い間グリグリしたものですから、注射器の中で樹脂が固まってしまったのでありました。(大アホです)

 

もうそんなんばっか!!

 

なかばヤケになりながら、何度もトライしてみるのですが、何度やっても結果は同じ。

この時は本気で諦めようかと思いました。

 

で、結局、遠心分離ではどうしようもない事が分かり、別手段を考えるしか手は無くなってしまいました。

なんとか泡を貫く事は出来ないか・・・・・頭の中は、毎日その事でもんもんです。

そんなある日、ふとしたことから真空脱泡機というものがある事を知りました。早速、その機械について調べると、真空状態を作って樹脂の中に混入した気泡を除去する機械らしいのですが、調べれば調べる程今の自分の用途にピッタリ合っているようです。

自分の経済状況にとっては少々高い機械なのですが、もうワラにもすがる思いでオーダーする事にしました。

 

そして、無事に機械が届き、早速樹脂の脱泡テストしてみると、これが凄いっ!!

今まで必死こいてハンドドリルをグリグリしてたのは何だったんだろうっ?ってなぐらい見事に泡を除去できる事がわかりました。

 

真空脱泡機おそるべしっ!!(笑)

 

 

Image
Nishine Lure Worksの秘密兵器?「真空脱泡機!!」 

 

 

文明の利器とはまさにこの事です。これで、泡除去の問題は無事に解決しました。

 

ちなみに、今回の遠心分離大作戦では、Nフレーム用の樹脂以外にもモールド用のシリコンラバーからもなんとか泡を抜けないかと試してみたんです。

というのも、シリコンラバーに泡が入っているとモールドの寿命が著しく低下してしまうので、シリコンラバーからの脱泡も至急解決課題だったんです。

しかしながらシリコンラバーは樹脂とは比較にならないぐらい重量があることもあって、サスガにハンドドリルでは回す事が出来ず、ヤケクソで洗濯機に入れてグリグリ回してみることに・・・・・・・・アホルアービルダーの暴走は留まりません。(笑)

 

そして、結果はもうお分かりですよね?

 

シリコンラバーを入れたタッパーは脱水槽の中でフタが弾け飛び、洗濯機の中はシリコンラバーだらけの阿鼻叫喚・・・・・・あまりにもありきたりな3流コントのようなオチなのでありました。

 

ああ、いと哀しきかな遠心分離大作戦。

洗濯機で回しちゃってゴメンナサイ。

 

アホルアービルダーによってシリコンを回された不幸な洗濯機と、不幸な嫁さんはその後しばらくの間、洗濯をするたびに衣服からこぼれ落ちるシリコンのカスに悩まされたのは言うまでもありません。

 

 


「あれれっ?強度が足りない??」の巻

 

真空脱泡機なる最新鋭機械?をゲットし、完全脱泡に成功した前巻。

これで、無事にNフレームが成型できるようになりました。

 

しかぁーし!!!

 

これで一見落着するほど、甘い話ではありませんでした。

 

真空脱泡機を駆使し、やっとの思いで成型した「Nフレーム」。確かに見た目はほぼ完璧です。

しかし、これをテストに持ち込んでみると、激しく使用しているうちにプロトタイプのリップがポキリ、ポキリ・・・・・と次々に折れて行く事が判明しました。

通常の使用では何とか使えるのですが、ミスキャストで何かにぶつけてしまった時とか、ルアーに絡んだゴミやウィードなどを取ろうと水面にバシバシと激しくルアーを叩きつけた時にあっさりと折れてしまいます。

これでは全く使い物になりません。

 

“うっそぉおおおおおおおん~~~!!??”(号泣)

 

認めたくない現実に、めまいがします。

 

苦心に苦心を重ねて研究したNフレームですが、せっかく完成したフレームは強度に致命的な問題を抱え、開発はまたまた暗礁に乗り上げてしまったのでした。

 

何とか改善できないものかと、英語辞書を引きながらプラスチックの取り扱いマニュアルを再確認してみるものの、使用法や混合レシオに全く問題は無く、頭を抱えてしまいます。

 

“根本的にプラスチックの強度が足りないのでは?”

恐ろしい妄想が頭をよぎります・・・。

そんな事は考えたくありませんが、もしそうなのであれば、僕にはもうどうする事もできません。

 

これを解決する方法として、具体的に僕が思いついた事はただ2つ。

もっと強度を持ったプラスチックを探すか、それともリップ形状をもっと頑丈で分厚いものにするか・・・・・・。

 

アクションへの影響を考えると、これ以上リップを厚くしたくありません。

なのでこの方法は即ボツ。

 

かと言って、他に使えそうなプラスチックがあるかというと、これまたカナダでは手に入りそうにありません。

 

まさに八方塞りです。

さて、どうするか?どうにもならんのか??・・・・・またまた悩みます。

 

日本、もしくはアメリカから素材を輸入するか?

鮮度が命のプラスチックにとっては何時も安定して手に入るものでなければ意味がありません。それに輸入すればそれだけ材料コストもかさみ、販売価格も無意味に跳ね上がってしまいます。

 

それではN-フレームシステムを諦めて、別の方法を考えるか?

考えても考えてもなかなか良いアイデアは生まれてきません。

 

またまた、もんもんとする毎日・・・・・とにかくひたすら考え続けます。(諦めの悪さだけは天下一品ですな。笑)

 

そんなある日、ふとしたことが頭をよぎりました。

それは、最初の頃に「樹脂温度を上げすぎて成型に失敗した事。」

樹脂温度を上げすぎたせいで、プラスチックがカチカチに硬く固まりすぎてしまった失敗例だったのですが、でも、それを逆から考えると、硬化する時の熱環境で、固まり方が変わるのではないか?という事に気がつきました。

硬化時の熱環境を整えてやる事で、なんとかプラスチックにネバリを持たせる事はできないかと・・・・。

 

そこで、早速テストしてみることにしました。

樹脂をモールドに注入後、焼肉用ホットプレート(笑)でモールドを過熱してみると、確かに固まり方が違います。

それは、まだ完全と呼べるものではありませんでしたが、なんとなぁ~く強度がアップしているような気がします。

 

これはもしかして大きなヒントなのでは?

 

この時の僕は、まさに「溺れるものワラをもつかむ」状態。(笑)

かすかな希望を元に、思いついたことを片っ端からテストしてみる事にしました。

まず、一番最初に悩んだのは、どうやってモールドを加熱してやるか?

考える事3分。

で、出た結論は・・・・・・

 

“キッチンにいいものがあるじゃあないか!!”

 

僕の目に留まったのは料理に使うオーブン!!!!

そう、ケーキとか魚とかを焼く時に使うアレです。(笑) 

      ↓  ↓  ↓

Image

遠心分離大作戦では「洗濯機」を使いましたが、お次は「オーブン」です。

もうここまで来たら怖いモン無し。使えそうなものは何でもござれです。

嫁さんのヒンシュクを買いながらモールドをオーブンにぶち込み、記録ノートを片手に加熱時間と加熱温度を色々と試してみます。

 

例によって、成型しては壊し、成型しては壊し・・・・・を繰り返しながら、またまた膨大なデータ取りをしながら延々とテストを続けました。

 

そしてわかった事・・・・・硬化時の温度&時間設定がきちんと合えば樹脂の硬化が理想的な状態で進み、最大強度に達するという事。

いわゆるヤキを入れてやる事によって、樹脂の強度が飛躍的にアップする事が分かりました。

 

そして、もう一つ分かった事は、僕が使っている樹脂の場合、A液とB液の混合比を変えてやる事によって、ラバーのように柔軟性を持って固まったり、ガラスのようにカチカチに固まったりする事が分かりました。

 

ここまで分かればあと一息。

後は最適な硬化温度と硬化時間、そして混合比を模索するだけです。

 

ルアーを何かにぶつけてもリップが折れてしまわないように、また炎天下のタックルボックスの中でヒートアップした時に変形したりしないように、硬すぎず柔らかすぎないギリギリのセッティング。

一体どれだけのプラスチックを無駄に消費したのか・・・・・そんな試行錯誤の中で、A液とB液の理想的な混合比が見えてきました。

それはマニュアルにも無い裏ワザ的な方法で、ほんの0.1グラム混合比率が違うだけで強度も大きく変わってくる程微妙なものですが、遂にベストセッティングと思えるものにたどり着きました。

 

そしていよいよ最終強度テスト。

完成したプロトモデルを水面に激しく叩きつけるテストです。

フリッピングロッドに20ポンドラインのヘビータックルを使い、祈るような気持ちで、でも渾身の力を込めてルアーを水面に叩きつけ続けます。

 

バッチン!バッチン!

 

ルアーが超激フルパワーで水面に叩きつけられる度に盛大な水しぶきを上げます。

こんなヒドイ扱いをされて、ルアーがとっても可哀想なんですが、これをやらない事には強度限界が解りません。

心を鬼にしてルアーをシバキ続けます。

 

30回・・・・

50回・・・・

リップはまだ折れません。

70回・・・・

だんだん腕が疲れてきます。(笑)

80回・・・・

まだ大丈夫です。

90回・・・・遂にボディーのNフォームに亀裂が入り始めます。でもフレームは大丈夫。

そして、100回目を過ぎたあたりで、遂に腹部のNフォームが欠落。

 

Image

激しく水面に叩きつけられ遂にフレームが露出したM5。(ゴメンね!!M5君)

ちなみにこんな状態でもアクションに影響は無く普通に使えます。


水面に超激フルパワーで叩きつけること100回余、テスト結果は予想に反して、フレーム粉砕では無く、Nフォームの欠落という結果に終わりました。

まぁ、通常の使用でこんなハチャメチャな使い方はまずしないだろうと言う事で強度については合格点としました。(ちなみに2007年発売のスーパーチナイ以降は更に素材強度をアップさせた「NフォームⅡ」へ素材改良を進めており、更なる強度アップが図られています。)

 

それにしても、一番驚いたのは、こんなボロボロの状態になっても新品と何ら変らないアクション。

確かにNフォームが欠落した分だけ微妙に浮力は落ちていますが、アクションに関しては全くといっていいほど無影響で、その後、このルアーで何匹もバスを仕留める事に成功しました。

 

遂に、遂に完成した「Nフレーム」・・・・・一つ一つ注射器で樹脂注入し、キッチンのオーブンでクッキングし、本当に本当に手間の掛かる困ったちゃんですが、手間の掛かる子ほどカワイイとは良く言ったものです。

 

マジで嬉しいっす!!(喜)

 

そして、残るは外部仕上げの工程開発。

 

「メイキングストーリー・オブ・ビーツァ」当初の予定は第3章で完結する予定だったのですが、書いているうちに次から次へと色んな事が思い出されて、とても3章では書き切れませんでした。

 

という訳で次回は第4章に突入したいと思います。

読んで下さっている方にとってはタイクツで意味不明な話かもしれませんが、もし宜しければお付き合い下さいね。

 

あぁ、それにしても一体何時になったらルアーが完成するんでしょう?(笑)

 

続く・・・・

 

 

ルアービルダーからお願いです。

今回の記事中でご紹介させて頂きました水面シバキテストについて一言。

ルアーに掛かったゴミやウィードをいちいち手で取り除くのはメンドクサイので、ついバシバシとやってしまいがちですが、発泡ウレタンルアーに限らず、ウッドルアーや頑丈と言われているABSルアーでも、水面バシバシはルアーの寿命を大幅に縮めます。

こういった使い方は、ルアーにとって最大級にストレスの掛かる事で、非常にヤバイです。

まさに破壊行為そのものなので絶対に避けて下さいね。マジで壊れますんで。(笑)

 

例えボディーが折れたり割れたりしなかったとしても目ん玉がどこかに飛んでいったり、チューニングが狂ったり、水が浸水したり、ペイントが剥げたり・・・・・と、とにかく良くないです。

面倒でもゴミやウィードは手で取り除いてやって下さいね。

そんでもって、末永く使い続けて頂ければと願っております。

 

ちなみに僕の場合ですが、実際の釣りでは水面バシバシはまずやりませんが、ゴミやウィードがルアーに掛かって外すのがめんどくさい時はそのまま(ゴミやウィードが掛かったまま)フルキャストをかまします。(笑)

これが意外と効果があって、多少のゴミであれば空気抵抗で意外と簡単に外れてくれますのでお試し下さい!!

 


 

 

 

 

 
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