Voice From The Water - Vol.12   >  The Passion


2008.1.11更新

 

Vol.12  ルアービルダーとして

 

毎年、この時期になるとしみじみと思うことがある。

“ああ、今年も無事に迎えられたんだなぁ・・・・・”って。

これもひとえに皆様のお陰です。

ユーザーの皆様、何時もお世話になっている釣具店や問屋さんの方々、プロスタッフやフィールドテスターのみなさん、そして何時も迷惑を掛けっぱなしの家族達・・・・2007年は本当にありがとうございました!!

Nishine Lure Worksを支えて下さっている全ての方々に、この場を借りてお礼申し上げます。

そして、2008年は更にパワーアップするべく、全力で走り抜けたいと思いますので何卒よろしくお願い致します。

 

 

 

それにしても2007年を振り返ると、実に色んな事があった一年だなぁと思う。

僕にとってはまさに怒涛の一年といった感じの2007年。

Nishine Lure Worksの活動の他にも、トゥルータングステン社とのプロジェクトがスタートした事もあって、アメリカへは何度か足を運んだし、春には念願だった日本帰国を3年ぶりに果たす事ができた。

よくもまぁ、目まぐるしく動き回ったものだと思う。

 

色んな出会いや再会もあった。

「イッシュ・モンロー」や「エドウィン・イーバース」と言った超トップレベルのツアープロとの再会、そして釣り。

今やトッププロとして大活躍している「大森貴洋君」との18年ぶりの再会も嬉しかった。

カリフォルニアのスイムベイトキング「マット・ニューマン」との出会いも鮮烈だった。

アメリカのトップカテゴリーのトーナメントを少しだけど肌で感じることが出来たし、アメリカの幾つかの釣り場で思う存分ロッドを振る事もできた。

そして、感じたこと。

やっぱりバスフィッシングって最高だなぁ!

そんでもって、アメリカってデッカイなぁ!!(笑)

今更ながらホントでっかい国ですよ!アメリカは!!

 

ルアービルダーとの出会いもあった。

九州の「スキルフル 」岡本巧さん、岡山の「六度九分 」行友光さん、静岡の「THタックル 」濱田禎二さん、和歌山の「Grayz 」那須大士朗さん、それと何時も陰でNishine Lure Worksの活動を支えてくれている岐阜の「シンドラールアー 」酒向智史君・・・・僕にとってはどれもこれも素敵な出会いだった。

みんな一生懸命で、ひたむきにルアー製作に取り組む人達。

そんな彼らが作り出すルアーの素晴らしさやオリジナリティーの高さは、今更僕なんかが語るまでもないですが、その真摯な製作者の姿にビルダーとして心底感銘を受けた。

ホント、こんなに一生懸命モノ作りに取り組んでいるビルダーさん達が少しずつでも増えていってくれたら、日本のルアー業界、もっともっと面白くなるだろうになぁ~って思った。

 

そんな色んな出会いの中から、改めて思った事がある。

いや、再認識したと言うべきか。

 

「ルアーフィッシングってホントに面白い!!釣りって素晴らしい!!」

 

っていう事。

 

日本を離れてカナダに居るから余計そう感じてしまうのかもしれないけど、釣りってホントに素晴らしい趣味だと思います。

老若男女、国籍、人種、地位問わず皆が楽しめる趣味ってそうありませんよね?

僕自身も「釣り」を通じて楽しい事や苦しい事をいっぱい体験してきたけど、その「釣り」があったからこそ今の自分があるんだと心底思います。

 

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 ビルダーとして、僕に何が出来るか。

夢は沢山あります。

“世界記録のバスを釣りたい!もちろん日本記録も!!”

“アメリカのメジャートーナメントを制覇したい!!特にバスマスタークラシック!”

バスフィッシング限定で言えば、この二つが究極の夢。

これはもちろん、「自分が」という意味ではなく、「自分のルアーが」という意味なんですが、でもこれはどちらかと言えば「夢」と言うよりも「野望」かな。(笑)

でもまぁ、そんな事を色々と想像しながらルアーを作るのは楽しいものです。叶うかどうかは解らないけど・・・・。

 

僕にとって一番大切な気持ちは、「一人一人のユーザーの方々に、より楽しい時間を過ごしてもらうこと」。

 

色んなフィールドにNishine Lure Worksのルアーを連れて行って欲しいし、投げて欲しい。

そして、そこでの「喜び」や「悔しさ」をユーザーの皆さんと共有したい・・・・・・それが一番の「夢」です。

上手く言えないけど、「ビーツァ」や「スーパーチナイ」を使って、想い出に残るような楽しい釣りをして頂けたならばそれが一番嬉しい瞬間ですね。

僕にとっては、例えばイッシュ・モンローがクラシックの大舞台で釣り上げるビッグフィッシュも、ユーザーの皆さんが週末の楽しみに釣られる一匹一匹も同じように大切で嬉しい事。

なので、楽しい釣りをして頂けたならそれが一番!!

ウチのルアーを通じて、少しでもそんなお手伝いが出来たらな~なんて願いながら作り続けています。(まだまだ力不足ですが)

 

ビジネスに関して言えば、僕自身、Nishine Lure Worksを大きくする事にはあんまり興味はないし、たぶん僕にはその才能は無いでしょう。2007年はつくづくその事を感じた一年でした。

「仕事を大きくする事」よりも「ルアーの完成度を高めたい」。

どうしてもそれが先に立っちゃうんですよね・・・・・僕の場合。(笑)

でもまぁ、それが僕の生き方なのかもしれません。

自分の原点を見失わず、そんな血の通ったモノ作りを何時までもコツコツと続けて行きたいですね。

不器用なやり方かもしれませんが、それが自分のモノ作りの道と信じています。

 

TT社とのプロジェクトでは、一体何回アメリカと国際電話したのか、一体何百通のメールをやり取りしたのか・・・・・実際にカリフォルニア、ラスベガス、ペンシルバニアへと足を運びました。

無い「時間」と無い「お金」を振り絞ってやることだから、自分にとってはまさに「退路無き挑戦」でもあり、ありとあらゆる事に無理も掛かるけど(家族達ゴメ ンね)、それでもその先々で遭遇する人達や場所との出会いは何モノにも変えられないもの・・・・・「良いルアーを作りたい、良い道具を作りたい」と願う人 達との仕事はどんなに苦しくても楽しいものです。

 

そして、そこに「生きている希望」が見えてきます。

 

何時もの事ながら一つのルアーを作り上げるのには途方も無い努力や時間が必要になるし、そこには本当に沢山の人達が関わってきます。

「作り手」の責任の重さ・・・・・・それはそのプロジェクトに関わってくる人達の「生活」や「人生」に直接関わってくるものだし、その「意識」は今も昔も、そしてこれから先の将来も決して変わる事は無いでしょうね。

 

お 陰さまで、TT社の「Tru-Life Swimbait」は発売前から大変な反響を頂いているらしく、アメリカのスイムベイト史上でも最大級のヒット作になる可能性が有るらしいです。(ただ し、製造の難易度があまりにも高い為、工場はてんてこ舞いしているみたいですが)

最近少し聞いた話だけでも、「アイコネリ」や「デニー・ブラウアー」などのTT社プロスタッフの間でもかなり話題になっているらしく、挙句の果てには噂を聞 いたミシガン州出身の某超有名プロからも、スポンサーとは全く関係なくTT社に直接注文があったりなどという珍事もあり、ちょっとした騒ぎになっている模様 です。

 

 

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「トゥルーライフスイムベイト」 
このボディーに一体どれだけ沢山の人達の「夢」や「希望」が込められている事か・・・・。

 

そして、今思う。

本当にありがたいなって。

 

僕自身、たった6畳ほどの地下室でこの「Tru-Life」を作り上げたのですが、正直、まさかここまで反響があるとは想像もしていませんでした。

 

そして、今だから言える事ですが、カナダの薄汚れた地下室でコツコツと製作に打ち込んでいる時、何時も僕の脳裏を横切る事がありました。

 

それは母国「日本」の事。

そして、僕が「日本人」であるという事。

 

欧米で誕生した「ルアーフィッシング」の歴史に、日本の「ハンドメイドルアー技術」がどこまで通用するのか・・・・・・今回のプロジェクトは、「自分自身に対する挑戦」であると同時に「日本のハンドメイドルアー技術の挑戦」でもあると信じています。

 

数年前のバスマスタークラシックで忘れられないシーンがあります。

それは、日の丸を掲げてクラシックのステージに立った大森貴洋の勇姿。

これって、北米に住んでみないとその本当の意味は実感できないかもしれないけど、人種差別が根強く残るアメリカで、しかもアメリカの魂ともいえるバスフィッ シングの世界で、日の丸を掲げてあの大舞台に立つなんて、おそらく大森貴洋にしかできなかった偉業だと思います。普通であれば攻撃の的になっても仕方がないでしょう。

しかし、それを受け入れたアメリカ人・・・・・それはきっと大森君が今まで何年もかかってコツコツ頑張ってきた事が会場にいた人達に伝わったのだと思います。

同じ日本人として誇りに思ったし、本当に感動しました。

まさに「継続こそ力なり」。

 

大森君には遠く及ばずとも、僕みたいなインディーズヤロウにも「ルアービルダー」として何か出来ないか・・・・・

何時かは日の丸の旗をアメリカ本土におっ立ててみたいものですねっ!!(笑)

 

それはさておき、今年はNishine Lure Worksでも新作を幾つかリリースしていく予定です。

何時もの事ながらマイペースではありますが、もちろんの事、「トゥルーライフ」に負けないぐらいの情熱と愛情を持って日々の開発に取り組んでいます。

 

「ビーツァ」や「スーパーチナイ」がそうであるように、ハデな存在では無いかもしれないけど10年経っても20年経っても変わらず釣れ続けるルアー、そんなルアーが僕の目標です。

 

もしかすると使う方によっては「?????(笑)」なルアーもリリースするかもしれませんが、必ず釣れると自信を持ったものばかりです。

 

乞うご期待下さい!!

 

西 根 博 司


 

 
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